「私に務まるのかな」福祉の仕事を始めた頃の話

初めての現場で感じた緊張

初出勤の日のことは、今でもよく覚えています。

事業所に入ると、利用者さんたちはそれぞれ自分の訓練に集中していました。

思っていたよりも静かな空間。

パソコンに向かう人。

資格取得に向けて勉強している人。履歴書作成に希望する企業を探している人。

それぞれが自分の目標に向かって黙々と取り組んでいました。

その光景を見た瞬間、私の頭に浮かんだのはひとつ。

「私はここで何をしたらいいんだろう」

という不安でした。

利用者さんの中にはPCスキルやIT系、専門技術のスキルを身につけたい人もいます。

資格取得を目指している人もいます。

でも当時の私は、障害についても知識がなく


PCに詳しいわけでもなく、もちろん特殊な資格も持っているわけもない人だったので専門的なことにつ

いて質問されてもすぐに答えられる知識はありませんでした。

面接では「未経験歓迎」と聞いていたはずなのに、現場に立つと自分だけ何もできないような気がして

しまったのです。

利用者さんに話しかけても会話が続かない。

どう関わればいいのかわからない。

障害福祉の知識も十分ではない。

知らないうちに相手を傷つける言葉を使ってしまわないか。

そんな不安ばかりを抱えながら毎日を過ごしていました。

今振り返ると、あの頃は肩に力が入りすぎていたのかもしれません。

当時の私は、支援員とは「教える仕事」だと思っていた

パソコンの操作方法を教える。

資格勉強のサポートをする。

就職に必要な知識を伝える。

社会で必要なビジネスマナーを教える。

そんなイメージを持っていたのです。

だからこそ、自分の知識不足に不安を感じていました。

ところが実際に働き始めると、現場は想像していたものとは少し違っていました。

コミュニケーションが苦手な方。

自分の思いを言葉にすることが難しい方。

反対に、自分の考えを強く主張される方。

同じ事業所の中にいても、一人ひとり特性も価値観も異なります。

最初の頃は戸惑うことばかりでした。

「この声かけで良かったのかな」

「もっと違う関わり方があったのではないか」

そんなことを毎日のように考えていました。

けれど、少しずつ気づいたことがあります。

支援員に必要なのは、何でも知っていることではないということです。

まずは相手を知ろうとすること。

話を聞くこと。

その人らしさを理解しようとすること。

信頼関係を築きながら、一緒に前へ進んでいくこと。

支援のスタートは、そこから始まるのだと現場で教えてもらいました。

乗り越えた小さな一歩

不安がなくなったわけではありません。

それでも私は、自分にできることを続けていました。

利用者さんと話すこと。

何気ない雑談をすること。

就労の悩みだけでなく、日常の些細な相談にも耳を傾けること。

特別な支援ではありません。

ただ、一人ひとりとの関わりを大切にしていました。

すると少しずつ変化が見え始めます。

利用者さんの方から話しかけてくれるようになったのです。

名前を呼んでくれたり、

「ちょっと聞いてください」と相談してくれたり。

以前は会話が続かなかったことを思うと、その変化が本当に嬉しかったのを覚えています。

そしてその頃から、

「私でも大丈夫かもしれない」

そう思えるようになりました。

知識や技術はもちろん大切です。

でも、人と人との信頼関係は、それ以上に大切なものなのかもしれません。

今でも利用者さんとの関わりの中で学ぶことはたくさんあります。

あの頃の不安があったからこそ、今の自分がある。

そんなふうに感じています。

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